EQUAL-AREA PROJECTION

面積が正しい世界地図

これは Equal Earth 図法で描いた世界地図です。地球上で同じ広さの土地は、この地図の上でも同じ広さで描かれます。 左右にドラッグすると、地図の真ん中に来る経線を動かせます。

左右にドラッグ/矢印キーで移動(動くのは経度方向だけです) 中央の経線 0.0°/中央の緯線 0.0°

正積図法って、なに?

世界地図は、まるい地球を平らな紙に写したものです。まるいものを平らにする以上、写すときに必ずどこかが変わります。 何を変えないかを決めたものが「図法」です。

正積図法は、面積の比を変えない図法です。

メルカトル図法の地図では、グリーンランドがアフリカ大陸と同じくらいの大きさに見えます。 実際のアフリカはグリーンランドのおよそ 14 倍です。 正積図法なら、この 14 倍が 14 倍のまま描かれます。

面積が正しいかどうかは全部か、まったくかのどちらかで、「この辺だけ正しい地図」はありません。

もう少しきちんと言うと

緯度 φ、経度 λ の点を地図の座標 x, y に対応させる計算が図法です。 正積であるための条件は、次の式が地図のすべての場所で成り立つことです(球の場合、s は定数)。

(∂x/∂λ)(∂y/∂φ) − (∂x/∂φ)(∂y/∂λ) = s · cos φ

「地図上の小さな区画の面積が、地球上の対応する区画の面積の定数倍になっている」という意味の式です。

面積が正しいと、形はゆがみます

みかんの皮をむいて机の上で平らに押しつぶすと、必ずどこかが破れるか伸びます。地球と地図の関係もこれと同じです。

1827 年にガウスが証明した驚異の定理から、 面積と形(角度)を同時に正しく保つ地図は作れないことが導かれます。 正積図法が形をゆがめるのは、数学的にそうならざるを得ないからです。

どちらが正しい地図か、という話ではありません。

メルカトル図法は角度を正しく保ちます。直線が一定の方位を指すので航海に向き、 拡大しても形がくずれないため多くの地図アプリで使われています。 正積図法は面積を正しく保つので、人口や森林面積のような「広さあたりの量」を比べる地図に向きます。 用途が違う道具です。

どうやって生まれたのか

正積図法そのものは古くからあり、日本の地理の教科書でおなじみのサンソン図法(1570 年ごろ)、 モルワイデ図法(1805 年)、グード図法(1923 年)も、 すべてその仲間です。面積を保つ条件を数学の問題として体系的に扱ったのは、1772 年のランベルトでした。

1973 年、アルノ・ペータースが「ペータース世界地図」を発表し、 メルカトル図法が低緯度の地域を小さく見せていると主張しました。正積図法が数学だけの話ではなくなった出来事です。

このページの地図に使っている Equal Earth 図法は 2018 年に発表された新しい図法です。 既存の正積図法に見た目の面で納得できるものが見つからなかったため、3 人の研究者が新しく設計しました。

sin θ = (√3 / 2) · sin φ

x = 2√3 (λ − λ₀) cos θ / ( 3 · ( 9A₄θ⁸ + 7A₃θ⁶ + 3A₂θ² + A₁ ) )
y = A₄θ⁹ + A₃θ⁷ + A₂θ³ + A₁θ

A₁ =  1.340264    A₂ = −0.081106
A₃ =  0.000893    A₄ =  0.003796

Equal Earth 図法の計算式(単位球、λ₀ は中央の経線)。このページの地図もこの式で描いています。

2026 年 9 月に話題になった理由

2026 年 9 月 4 日、国連総会が決議 A/80/L.104 を採択しました。投票は賛成 164、反対 1(米国)、棄権 6。 決議案は、アフリカ・グループを代表してトーゴが提出しました。 背景には、2025 年に始まったキャンペーン「Correct The Map」と、 同年 8 月のアフリカ連合の支持表明があります。

決議が求めていること

  • 面積の比較が問題になる場面で、Equal Earth 図法などの正積図法を使うこと
  • 平面の地図が球体の地球を表すことには限界がある、と教えること

決議が求めていないこと

  • メルカトル図法の使用を禁止すること
  • すべての用途をひとつの図法に統一すること

同じ日、フランスは公式地図でメルカトル図法をやめ、エッカート第 4 図法を使うと発表しました。 反対票を投じた米国は、この決議案を「急進的なイデオロギーのプロジェクト」だと述べています。

年表

図法が生まれてから現在までに起きたことを、古いものを先頭にして並べています。 起きた事実だけを書き、評価は書いていません。

  1. 年表を読み込んでいます…

出典

本文および年表の中の [番号] は、下の一覧に対応しています。